アワー・ミュージック

正しいヒマの過ごし方。楽しいお金の使い方。

2016-01-01から1年間の記事一覧

僕の現在地はどこかの誰かにとっての遠い場所

同じ町の中で暮らしていても、見える景色が同じだとは限らない。日々の生活の中で、思うことや、気にすること、その日やらなければいけないことや帰ったらしたいことだって人それぞれまったく違うだろう。僕は今日は最近ハマっている漫画家の福満しげゆきの…

いろんな読書

2ヶ月ぶりの更新らしい。だけど別に大したことを書くわけじゃありません。読書ってやっぱり楽しいよねって話です。これまで本を読む時は、この世界に散らばるたくさんの本の中のそのまたたくさんの活字の中から、見える世界が鮮やかに一変するような、あるい…

いろんな読書

2ヶ月ぶりの更新らしい。だけど別に大したことを書くわけじゃありません。読書ってやっぱり楽しいよねって話です。これまで本を読む時は、この世界に散らばるたくさんの本の中のそのまたたくさんの活字の中から、見える世界が鮮やかに一変するような、あるい…

自転車を盗まれたことがある人・ない人

世の中には二種類の人間しかいない。自転車を盗まれたことのある人間と、自転車を盗まれたことがない人間だ。 これは事実を書いている文章だけれども、心の底からそんな風に思っているわけではないような気もする。自転車を盗まれた経験の有無がその人のその…

くるり『THE WORLD IS MINE』

最近、二年前に水没してからほっったらかしていたiPodが気づいたら直っていて、ときどき不意に音量がMAXになる不具合に怯えながらも、よくイヤホンで音楽を聴くようになった。これまではパソコンに安いスピーカーを繋いで音楽を聴いていたのだけど、スピーカ…

コトバを連呼するとどうなる

藤井貞和という詩人がいる。どういう詩人なのか、よくわからない。そもそも詩人を言葉で簡潔に説明することは、できるんだろうか。詩人は詩の中でしか生きていないのだから、詩人の姿は詩の中にしか見られない。詩について、あるいは詩人について、何かを書…

舞城王太郎『ビッチマグネット』物語についての物語

舞城王太郎の『ビッチマグネット』は、物語についての物語であると思う。物語とは何か、物語に何ができるか、というテーマについて、真面目に考え抜いて書かれた作品だと思う。 そうは言っても難しい内容なわけではなく、思春期から大人へと変わっていく一人…

ロマンスがありあまる僕たちへ

人って流されやすい生き物だと思う。こだわりがあるとか、譲れないものがあるとか、芯がある人とかいうと、格好良いように思われるし僕もそう思うけど、人は流されやすい生き物だと思う。でもそれは悪いことでは全然なくて、環境適応能力というか、進化の過…

元町夏央『熱病加速装置』を読んで思ったことやあまり関係のないあれこれ

法や秩序に従って生きることは、精神の睡眠だという人がある。しかし、すべてを疑って倦怠の内ににいることは、精神の不眠症であると思う。すべては思いの力一つというか、気の持ちようによってどうとでも見た目が変わるけれど、何でもかんでも底抜けに明る…

外に出たいと思った

素直な心でしゃべりたいと思う。自分の声で話したいと思う。 毒にも薬にもならなくて、誰かの心を動かすわけでもなくて、新しい発見でもなんでもなくて、どちらかといえば言わなくてもいいこと。そんなことを大事にしたいと思う。そんなことを誰かにしゃべり…

正しく考えるとはどういうことか

最近考えていることがある。「考える」とはどういうことなのか、ということだ。また、「思考力」とはどんなものなのか。 思考力があるといった場合、だいたい正しく考える能力があるという意味だが、正しく考えるとはどういうことなのか。正しい結論にたどり…

春の胸のざわめきについて

春が近づいているのが、ぼんやりと肌で感じられて、心中穏やかではない。 季節の変わり目はいつだって、ひとつの季節にまとまっていた時間の固まりが、どっと流れ出すように感じられて、いつの間にか過ぎてしまった時間の多さを突きつけられるようで、胸がざ…

グザヴィエ・ドラン『胸騒ぎの恋人(2010)』

胸騒ぎの恋人(字幕版) 発売日: 2014/07/04 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログを見る 時間とはいったいどのようなものであろうか。僕達の存在はこの時間というなにやら得体の知れない物と密接な関わりを持ちながらも、時間についてきちんと考えて…

老作家、書くことの極致、武者小路実篤の晩年

僕も八十九歳になり、少し老人になったらしい。 人間もいくらか老人になったらしい、人間としては老人になりすぎたらしい。いくらか賢くなったかも知れないが、老人になったのも事実らしい。しかし本当の人間としてはいくらか賢くなったのも事実かも知れない…

今ここから読む石川啄木

石川啄木は、1886年に生まれて岩手県で生まれて、17歳の時に文学を志し上京し、あれこれ生活に苦心をしながら、1912年に結核で死ぬまで、詩を作ったり、歌を詠んだり、小説を書いたりしていた。 彼自身は小説家を目指していたようだが小説はあまりおもしろく…

言いたいことはなくなった

あるテーマを設定して、それについてこう書こうとすると、書けなくなる。なんだか間違いだらけなような、嘘っぽい感じになる。ついつい上手にまとめようとしてしまうし、背伸びがしたくてしたくてたまらなくなる。 自分が知らないことについては、訳知り顔で…

川上未映子『わたくし率 イン歯ー、または世界』 「私」の問題

わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫) 作者: 川上未映子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2010/07/15 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 27回 この商品を含むブログ (41件) を見る 人は、自分以外の誰かになることはできない。言い換えると、私…

現代短歌の可能性

僕たちはいつだって、「いま・ここ・わたし」を生きるしかない。 そして時々、僕たちの「いま・ここ・わたし」は頼りない。今ここにあるすべてでは、どうやって生きていけばいいのかわからなくなる時がある。 そんなとき、たった一つでも、ささやかでも、あ…

天才と悪魔 <快ー不快>という尺度

Robert Johnson- Crossroad ロバートジョンソンという伝説のブルースマンがいる。ローリングストーンズだとか、その後のたくさんの音楽に影響を与えた。僕にはイマイチぴんとこないが、ポップソングの祖だなんてことも囁かれている。 彼には一つ、おもしろい…

「意味がない」ということについて

なにかの意味を実感するためには、信じることがその前提にある。 意味の背後の価値、及びそれを形作るところの価値観を、全面的に受け入れて肯定し信じることができなければ、何事も意味を為さない。 神様を信じない人にとっては、祈りなんて無意味だし、ロ…

読書の楽しみ

たまに、たくさん本を読んでいてすごいね、とかえらいね、とか言われることがある。 褒められるともちろんうれしいけれど、別に褒められたくて読んでいるわけではない。ただ楽しいから読んでいるのだ。僕は本を読むのは楽しいことだと思うけれど、そう思わな…

”ジャズな書き方”試論

壊してね 壊してね こうやって作るんよ 壊してね 壊してね こうやって作るんよ せやけどね 戻らんよ 壊したもんは戻らんよ 別物や 別物や 全くもっての別物や ミドリ (Midori) - ちはるの恋 ジャズには、テーマと呼ばれるメロディがあって、決められたコード…

ヴィム・ヴェンダース『ランド・オブ・プレンティ』 あの日から僕らが考えている「豊かさ」について

アメリカ合衆国。USA。日本に住む僕らからしたら、まったくのよその国のはずなのに、僕らはみんなアメリカの大統領の名前をフルネームで言える。誰もがアメリカ製のピカピカした映画を観たことがある。ジーンズを履いたことがある。人によっては、ニューヨー…

坂口安吾『恋をしに行く(「女体」につづく)』 「恋愛とは性欲の詩的表現にほかならない」のか?

まずタイトルが、洒落ている。ちょっとそこまで買い物に行ってくるよ、とでも言う風に、「恋をしに行く」。ふしだらな男女の小説を書いてばかりいる安吾が言うと、不思議に格好良く、説得力があって、しびれる。 実際、そんなものなのかもしれない。堀江敏幸…

太宰治『富嶽百景』 ぼくのかんがえるさいきょうの作家

作家と作品の関係は、しばしば論争の対象となる。作品と作家の私生活とは関係がないという人もいるが、批評では作品と作家の生い立ち、環境、日記などを照らし合わせて作品を分析する、という方法がよく行われている。 中でもとりわけ作品が、作者の生活や人…

本谷有希子『生きてるだけで、愛。』 純文学は今どこにあるのか。

文学とは、生きることだ。純文学とは、その国で、その時代で、その人が生きていくための言葉なのだ。生きとし生けるものの、よろこびだ。生まれ出づるものへの手紙だ。 朝、目が覚めて、静かな気持ちで君を想うということ。さみしさや、焦燥感にやられて、騒…