アワー・ミュージック

正しいヒマの過ごし方。楽しいお金の使い方。

2020-01-01から1年間の記事一覧

automatisme 2

オートマティスム。シュルレアリスムの技法の一つ。反省的思考の追いつかない速度で書くことによって実現される無意識の書き取り。論理や命題ではなく声を取り戻すための試み。 かわいいだけの帯状模様。眩いばかりの脚韻。黄色い埃の積もった部屋で、ミシュ…

automatisme

パリコミューンの残骸が母国を目指す。大袈裟な身振りの蕩尽、ローソン・コラボ。試供品の空袋。大陸を横断する季節風のマルクス。国民文庫の背表紙が電子レンジの熱に震えている。豪華客船が波立たせる海面、膨張する音楽、魚介類、貝類、乳化する鯨油。逆…

プラトンやアリストテレスの時代のプシュケーと、デカルト以降の心の概念とを区別するものは、心の概念は主観的・私秘的であるという点であろう。心身問題と他我問題、独我論はその意味で同根である。私にしか感じられない私の心の存在、言い換えれば、私が…

中公クラシックスから出ているデカルトの『省察』の、神の存在証明に関する、第三省察を読んでいて、わからないことがいくつかあり、書かなければ忘れてしまうので、書き留めておく。 「 実際、疑いを容れないことだが、私に実態を表示する観念は、ただ様態…

『論理哲学論考』に関する覚書き

ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考(以下、『論考』と略記する)』を読んでいる。初めからじっと読んでいってもあまりしっくりこない。全体との関係においてそれぞれの命題が意味を持つものであるので、読み進めてみて初めて意味がわかるという箇所が多…

ウィトゲンシュタイン『青色本』を読もうとする・1

・なぜ青色本を読むか 近頃ウィトゲンシュタインを読んでいる。ウィトゲンシュタインは哲学者だが、彼の哲学は一風変わっている。哲学書というのは一般に、ドイツ観念論などに顕著だが、その思想的な背景や前後の歴史を踏まえていなければわからないことが多…

カラヴァッジォ展に行きました。

ぐずついた天気で濁った頭を抱えながら耳を塞いで、1時間近く電車を乗り継いだ果てにガラス張りのエレベーターに乗り込んだ。14階でチケットを買った。カラヴァッジォの絵を見に来た。 1600年前後から活躍を始めたカラヴァッジォの特徴としては何よりもまず…