アワー・ミュージック

正しいヒマの過ごし方。楽しいお金の使い方。

現実の自分の移動速度が遅い問題を考える

家にこもりがちであり、一日の大半は大人しく座っている。そのような日々を過ごしていると、体力が目に見えて低下していくので、少しでも運動をしようと思い、リングフィットアドベンチャーを買った。ずっと体育の授業が大嫌いで、何も教えてくれない上にや…

受胎告知の名画④ 読書をするマリアの図像の起源と発展

notre-musique.hatenadiary.jp 受胎告知の絵画は、ルネサンス期において最も多くの作例が描かれましたが、その際、必ずと言っていいほど、マリアは本を手にしているか、読書中であるか、書見台や机に置かれた本が描き込まれています。第一回目の記事で見たよ…

フラ・アンジェリコの生涯と受胎告知画、受胎告知の名画③

notre-musique.hatenadiary.jp 前回に続いて、今回はフィリッポ・リッピと並んで「受胎告知の画家」とも称される、画家であり敬虔な修道僧でもあったフラ・アンジェリコの生涯と受胎告知画を見ていきます。15世紀イタリアの画家の中でも、ボッティチェリやフ…

フィリッポ・リッピの生涯と受胎告知画、受胎告知の名画②

notre-musique.hatenadiary.jp 前回の記事の続きです。今回からは具体的な作品を見ていきながら、受胎告知に見られる図像の特徴を見ていきます。受胎告知の絵画はルネサンス期に全盛期を迎え、中でもフィリッポ・リッピとフラ・アンジェリコは、多くの受胎告…

受胎告知の名画・導入編

西洋美術の歴史を紐解くと、その時代毎に人気のあった主題が見えてくる。受胎告知は、主にルネサンス期のイタリアを中心に広く流行した主題で、レオナルド・ダ・ヴィンチやボッティチェリ、フラ・アンジェリコやフィリッポ・リッピなど、枚挙に暇がないほど…

きみは便利な映画情報サイト「MIHOシネマ」を知っているか!?

季節は春。陽射しは日毎に手応えを増し、街をあたため、草木は芽吹き、人々が新たな予感に打ち震える季節です。夜になっても冬物の上着が要らないほどの心地よい気温に、春の訪れを噛み締めながら、お出かけしたくなる誘惑に駆られる方も多いかと思います。…

フォイエルバッハ『キリスト教の本質』を読みながらの覚書

フォイエルバッハの『キリスト教の本質』を読んでいる。二章の中で、神を無限に超越的な存在、何によっても規定されない不可知の存在と考えることは、狡猾に敬虔さを装った無神論である、という主張を見つけて興味深く思った。本文からのきちんとした引用は…

狂気のアメリカン・パイ全作品レビュー

・まえがき アメリカの青春コメディ映画の金字塔、『アメリカン・パイ』シリーズ全作品の感想です。有名なシリーズですが、全作品を通して観たことがある人は、意外と少ないのではないでしょうか。先日友人とアメリカン・パイシリーズ全作品を語り合う会を開…

「不在の百合」とはなにか

今日、いつものようにTwitterに張り付いていたとき、「不在の百合」なる概念があることをこのツイートで知った。https://twitter.com/dw_nkmr/status/1349546827826098181?s=20 また、Twitterで検索してみると、「不在の百合」概念の例示として、うら寂れた…

映画『マグダラのマリア』(2018)の感想。

Netflixでも配信中の、ガース・デーヴィス監督、ルーニー・マーラ、ホアキン・フェニックス主演の映画『マグダラのマリア』(2018)の感想です。 マグダラのマリアについて、ルカによる福音書にはイエス様に7つの悪霊を追い出して頂き、自分の財産を投げ出し…

詩を書いてみました。 「無題」 偽史にまみれた少年時代。 歪められた記憶の、猫の目の、 眺めていた玉砂利、遺失物。 小さいかたちを選んで、蹲っていた。 剃刀の扱い方も知らず、常用漢字だけに囲まれて、名前の知らない花の前に座っている、ごうごうと鳴…

automatisme 2

オートマティスム。シュルレアリスムの技法の一つ。反省的思考の追いつかない速度で書くことによって実現される無意識の書き取り。論理や命題ではなく声を取り戻すための試み。 かわいいだけの帯状模様。眩いばかりの脚韻。黄色い埃の積もった部屋で、ミシュ…

automatisme

パリコミューンの残骸が母国を目指す。大袈裟な身振りの蕩尽、ローソン・コラボ。試供品の空袋。大陸を横断する季節風のマルクス。国民文庫の背表紙が電子レンジの熱に震えている。豪華客船が波立たせる海面、膨張する音楽、魚介類、貝類、乳化する鯨油。逆…

プラトンやアリストテレスの時代のプシュケーと、デカルト以降の心の概念とを区別するものは、心の概念は主観的・私秘的であるという点であろう。心身問題と他我問題、独我論はその意味で同根である。私にしか感じられない私の心の存在、言い換えれば、私が…

中公クラシックスから出ているデカルトの『省察』の、神の存在証明に関する、第三省察を読んでいて、わからないことがいくつかあり、書かなければ忘れてしまうので、書き留めておく。 「 実際、疑いを容れないことだが、私に実態を表示する観念は、ただ様態…

『論理哲学論考』に関する覚書き

ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考(以下、『論考』と略記する)』を読んでいる。初めからじっと読んでいってもあまりしっくりこない。全体との関係においてそれぞれの命題が意味を持つものであるので、読み進めてみて初めて意味がわかるという箇所が多…

ウィトゲンシュタイン『青色本』を読もうとする・1

・なぜ青色本を読むか 近頃ウィトゲンシュタインを読んでいる。ウィトゲンシュタインは哲学者だが、彼の哲学は一風変わっている。哲学書というのは一般に、ドイツ観念論などに顕著だが、その思想的な背景や前後の歴史を踏まえていなければわからないことが多…

カラヴァッジォ展に行きました。

ぐずついた天気で濁った頭を抱えながら耳を塞いで、1時間近く電車を乗り継いだ果てにガラス張りのエレベーターに乗り込んだ。14階でチケットを買った。カラヴァッジォの絵を見に来た。 1600年前後から活躍を始めたカラヴァッジォの特徴としては何よりもまず…

わが草木とならん日にたれかは知らむ敗亡の歴史を墓に刻むべき。われは飢ゑたりとこしへに過失を人も許せかし。過失を父も許せかし。 萩原朔太郎「父の墓に詣でて」 私の生涯は過失であつた、と晩年の萩原朔太郎は書いている。また別の散文詩で「父と子共」…

鶏頭、鶏頭、俺はもう気が狂ひさうだ。という文章が北原白秋の歌集『桐の花』の中の散文「ふさぎの虫」に出てくる。これは白秋が人妻との姦通罪で拘置所にぶち込まれて世間的な評判も失墜してやぶれかぶれになっている頃に書かれた文章で、暑い夏の日に縁側…

Apple Musicは楽しい。最近は夏なのでディック・デイルとかキング・タビーとかを聴いているのとあとはマック・デマルコの『2』をヘビロテしている。マック・デマルコのギターのトーンに病みつきで、あのへろへろのチューニング、安いアンプから鳴っている感…

この世からいちばん小さくなる形選んで眠る猫とわたくし 蒼井杏『瀬戸際レモン』「多肉少女と雨」 1K六畳のワンルームマンションに住んでいる。場所をとらないで生きている、と思う。電車でも縮こまって座る。喫茶店に入っても隅っこの席を選んで座る。肩ら…

コンビニで発泡酒を買うためだけに家を出て、自転車が多い割に狭い歩道を、引越したての頃は落ち着かなかったがもう大して危機感を抱くこともなく歩いた。予定通りコンビニで発泡酒だけを買った。こういうとき他の商品は一切見ない。コンビニの棚をじろじろ…

昨日から珍しく土日が休みだったが、二日間休みがあることをすでに二連休と呼ぶようになっているくらいシフト制の勤務形態に頭が支配されてきている。シフト制で働いているとシフト制なりの時間感覚が身についてくる。三日行ったら一日休みがあるというのは…

大森静佳の『カミーユ』を買った。少しずつ読んで、あまりの良さにくらくらして、これは体調がいい時に、十全に味わいつくせる状態で余すところなく読みたいと思っていて、なかなか進まない。タイトルになっているカミーユという名前には、二人の女性の影が…

のがれがたい死というものを、どのように自分が膚でつかむか、といってもたいがい忘れているが、それでいて現世の肉体の甘美さというものを、どうしていっしょに考えるか。このことは、なるべく心の中で整理し、全身でわかりたいと思っている。 — 小島信夫『…

反復

昨日自分が書いたことにそそのかされてずっと前に京都の古本屋で買って以来しまいっぱなしになっていたドゥルーズの『差異と反復』を引っ張り出して読んできた。一緒に読み直そうと思ってキルケゴールの『反復』も引越しのために詰めてそのままになっていた…

今が寒さのピークだと言われている。立春を過ぎるころからゆっくりと春に向かっていくのだと言われている。日差しの中にも確かさが戻ってきた。そのことをうれしく思う。 今年の冬はとても寒くて長いからおばあさんが編んでくれたセーターを着なくちゃ、とブ…

たたみかた 2

誰かとぶつかり合うような意見を持つのではなく、しかし何にでも尻尾を振って加担するのでもなく、他者との対話に向かって開かれている問いを自分の中にいつも持つこと。それがぼくのやりたいことかもしれないと思った。 知らない人が多くいる場所に出向くと…

たたみかた

今日はお休み。来月から休みを増やすことにした。派遣社員という立場はそのへんの融通がきく。会社からの諸々の保証がないのだから、こちらから会社への責任も軽い、ということだろうか。四月までのロスタイムを本を読んだりして過ごしたい。 休みの日には本…