アワー・ミュージック

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本の整理をしていて思ったこと

 引っ越しに向けて、本の整理をしていて思ったことがある。どういう風に本を仕分けしているかというと、絶対に本棚に入れておきたい本・押入れの奥に押し込んでいたい本・いらない本の三つに分けて、いるかいらないか微妙な押入れ本を再検討する、というやり方で徐々に減らしている。絶対にいる本ともういらない本はスムーズに分けることができた。そうやって分けているうちに自分の中の本の序列みたいなものがちょっとわかってきた。

 まず、もういらない本の代表格は、面白いけど大好きじゃない巻数が多い漫画、1,2巻だけ買って止まってる漫画、どこのブックオフでも100円で売ってるような本だ。単純にかさばったり、もう読み返さない・漫画なら続きを買わない本はいらない。安いからという理由で衝動買いしたような本・どこのブックオフでも売ってるような本は、いくら安くても、引っ越しの時にいらなくなるという学びを得た。あと、自分の中の興味の文脈にそぐわない本、一冊だけ他と浮いているような本はいらないと思うことが多かった。あとアニメ化・ドラマ化した勢いでついつい買っちゃったやつとかも後々いらなくなりがち。それと買ったはいいけどずっと読まずにいる長編漫画。これはもう読まないんじゃないかと思う。この先どんどん時間がなくなっていくわけで、もう読まないのではないかと思う作品が増えてきた。『ドグラマグラ』とか『死霊』とか『チボー家の人々』とか『ドン・キホーテ』とか、大西巨人とかトマス・ピンチョンとか大江健三郎とかジョイスとか、読書好きの定番ではあるけどこの先も読まないんじゃないかという気がする。あとナルトとかブリーチとかも、結局全部は読んでないけどもう読まないんじゃないかと思う。プルーストだけはあきらめたくない。

 ちょっと難しいのが、好きな作家の好きじゃない作品、興味はあったけどハマらなかったジャンル、気になる特集の文芸誌、ヴィレヴァンで売ってそうなサブカル系の漫画、十代の頃に読んでた青春小説、新潮文庫から出てる海外文学の名作、コーヒーテーブルブックというのか、たまにパラパラめくるだけで決して通読はしない本、ネオアカなど古くなった思想、社会学系の本など。

 興味はあるけどハマらなかったジャンルが難しくて、具体的にはミステリー・SF・エンタメ系・ライトノベルなんだけど、どうしようか迷う。サラ・パレツキーとかシドニィ・シェルダンとか。江戸川乱歩夢野久作とか。とっといたらいつか読むような気もするけど、微妙。あとはサブカル系の漫画や高校・大学が舞台の漫画や小説、エキセントリックな感じのやつや、はしか的な作家も処分するか迷っている。買った当時はめちゃくちゃ感情移入して読んで夢中でハマりまくったし今思い返してもいい思い出になってるけど、この先読み返すかどうかは微妙なので。寺山修司村上龍山田詠美片岡義男など。漫画だと魚喃キリコとか松本大洋古屋兎丸よしもとよしともなど。本谷有希子や前田司郎も迷ったけど、前田司郎はいくらなんでもおもしろいのでとっておくことにした。太宰治は大好きなので全部残した。

 浅田彰山口昌男中沢新一蓮實重彦柄谷行人などのネオアカ系の人たちも迷ったけど結局残した。庄司薫田中康夫島田雅彦は当たり外れがあるので厳選して残した。

 新潮文庫から出てるような海外文学も難しい。もう読んだし読み返すか微妙なやつも結構あって、手放してもまたすぐ手に入りそうなものも多い。サン=テグジュペリパウロ・コエーリョは手放すことにした。ケストナーは残す。トルストイは手放す、チェーホフは残す。サルトルカミュは保留。カフカは残す。ジッドやヘミングウェイやヘッセは悩みどころ。ゲーテは残す。フィッツジェラルドも残す。ポール・オースターも残す。岩波文庫から出てるようなのはとっておこうと思うものが多くて、リルケノヴァーリスフローベールは残す。全体的に、アメリカ文学フランス文学は好きだから残したいものが多かった。ロシア文学、イギリス文学はこれから好きになりそうな予感があるので残した。

 

 絶対に本棚に残したい本を考えると、昔から好きだった作家が多い。保坂和志小島信夫高橋源一郎柴崎友香穂村弘太宰治あたりは大好きなのでそっくりそのまま残すことにした。あとは村上春樹も実は好きなので残す。村上春樹の小説も好きだけど村上春樹が好きな小説が好きという感じもする。フィッツジェラルドやチャンドラー、カーヴァーなど。アメリカの小説が好きなのはひとえに高橋源一郎村上春樹柴田元幸の影響だと思う。保坂和志の影響もかなりあって、彼が褒めてる作家はつられて好きになってしまう。小島信夫田中小実昌チェーホフカフカベケット、ウルフなど。あとは高橋源一郎から派生して読むようになったブローティガンヴォネガットサローヤンなども残す。ホイットマンやソーロー、ホーソーンなどの古いアメリカの小説も好きなので残す。ワーズワースマンスフィールドなどのイギリス系の人はこの先ますます好きになりそうなのでとっておく。

 あとは実用的な本も残す。料理本や身体関係の本、禅、発酵など。読み返すので。ミシマ社の本もなんだか捨てられない。趣味の本、音楽や映画の本も残す。これまた後々も読み返しそうなので。美術書や哲学書も残す。大学で勉強したことなので無駄にしたくない。同じ理由でブルトンアラゴンアルトー、エリュアールなどシュルレアリスム系の人は残す。詩歌も残す。一回読んだらおしまいというものでもないしすぐに絶版になって手に入らなくなるので。

 心底好きな漫画も残す。志村貴子山本直樹は大好きなので残す。大島弓子萩尾望都山岸凉子なども残す。つげ義春も残す。福満しげゆきもほとんど残す。あとは作品ごとにとっておく。きりがないのでタイトルは挙げない。

 

 そんなこんなで一通りの仕分けは終わりました。本棚に入れときたい本といらない本はもう確定で、押入れに眠らせておきたい本をもうちょっと検討する作業がしばらく続きます。4年間で本格的な本の整理は初めてだったので、自分の変化や趣味嗜好が改めて浮き彫りになってちょっと楽しかったです。さみしさもありますが。サブカル!!みたいな時期はもう終わったのかと思うと寂しいです。