アワー・ミュージック

正しいヒマの過ごし方。楽しいお金の使い方。

病気と診断されて仕事を休むことにした。すっかりお馴染みとなった疲労感や憂愁、虚無感や不安に囲まれながら、一種の落ち着きを持って暮らしている。皮算用とトランプ遊びとホラー映画で時間をやり過ごしている。元気な時には外に出かけてボードゲームをしに行く。たまに友達が家に遊びに来る。

寒かったり天気が悪かったり、病気が流行りそうだったりで、あんまり外に出る気が起きない。最近観たホラー映画の中では死霊館シリーズが一番面白かった。手垢にまみれた悪魔憑きというジャンルでストーリーとしては目新しいものは無いにも関わらず、抜群に面白い。つまらないホラー映画はまず感情移入のさせ方や怖がらせ方が下手で、突然でかい音が鳴り怖い顔が出てくる、所謂ジャンプスケアを多用してばかりで、びっくりはするもののその安直なやり方に不快感が募る。一方で死霊館の演出はとても丁寧で、段々と事態が悪化していき、徐々に緊張感を高めていく。また登場人物たちもこの人たちには幸せになってほしい…と思わせるような人たちばかりなのも良い。最近のホラー映画のトレンドとして、前日譚やら後日談やらをやたらと作る、というのがあるが、その悪しき影響として、殺人鬼ものの理不尽系B級ホラーに対して、犯人の動機がわからない、などと言って低評価をつける人が散見される。そのわからなさこそがホラーなんじゃないのと僕は思うが、ホラーを謎解きものの一種のようにして楽しんでいる人たちもどうやらいるらしいということがわかってきた。レザーフェイスの生い立ちとか、呪いの人形の由来とか、どうでもいいし知りたくないと僕は思うが、それが明かされることによるすっきり感を求めている人も一定数いるのだ。とはいえ死霊館シリーズは好きなので続編のアナベルとか死霊館のシスターとかも観るつもりなのでもう何を言っているのかわからない。

 


最近人に勧められたもので気に入っているものは中村佳穂とハコオンナで、中村佳穂は歌手で細分化されたリズムに乗る楽器のような声がとても好きだ。vtuberの花譜とかもそうだけどちょっと震えているような歌声っていいなと思う。

ハコオンナはホラーものの和製ボードゲームで、ホラーものというとテーマが先行し過ぎてゲーム性がお粗末なことも少なくないが、これはとても面白かったししっかり怖い。バランスゲームの要素もあり、探検要素もあり、心理戦や知能戦の様相も呈する。ハコオンナと訪問者たちに別れて遊ぶ非対称な協力ゲームで、探索を進めて情報を集めるにつれて訪問者が優勢になると思いきや、ハコオンナの力もどんどん強化されていく、その力関係の微妙な揺らぎのバランスが絶妙で、触れてはいけないものに触れてしまった、という雰囲気が常にある。物音トークンを積む瞬間や物陰を覗き込む瞬間の緊張感もいいし、ハコオンナが近くにいることがわかっている状態での手に汗握る攻防戦もいい。ただルールがちょっと複雑で、しっかり把握していた方が駆け引きが楽しめるという点で敷居が高く、実際僕が初めてやった時もちょくちょくプレイミスがあったので、またルールを読み込んでからもう一度やりたい。