アワー・ミュージック

正しいヒマの過ごし方。楽しいお金の使い方。

 Apple Musicは楽しい。最近は夏なのでディック・デイルとかキング・タビーとかを聴いているのとあとはマック・デマルコの『2』をヘビロテしている。マック・デマルコのギターのトーンに病みつきで、あのへろへろのチューニング、安いアンプから鳴っている感じのスカスカの浮ついているようなコーラスのエフェクト、良いけどどれも特別良いわけではない絶妙なソング・ライティング、どれを取っても素晴らしい。ヘタウマというのとも違う、これはこれで計算尽くという感を匂わせる、これが音楽の才能というものかと唸らされる、何回聴いても良いアルバムだと思う。

 ディック・デイルはやっぱり『Suffer's Choice』が良い。サーフロック特有のリバーブとか、シンプルなベースラインとか、雑な歪みのかけ方とか、どこかで聴いたことのあるようなフレーズが延々続いていくところとか、そういう上滑りしていくような、さざ波の列のような音像が心地よい。キング・タビーでのお気に入りは『In a Revival Dub』で、ダブと言ってもいろいろあるけど結局この一番の有名どころのキング・タビーが一番良い。とりあえずツマミをいじってみて自分が聴いていて一番気持ちが良いところを探っていくようなところがあってキング・タビーは好きだ。ダブは一人でお酒を飲むときによく聴く。アルコールが回っている状態でダブを聴いていると何もかもがどうでもよくなってくるので良い。

 

 今日は休みだったので梅田のでかい本屋さんに行って、小島信夫の『書簡文学論』と、ドストエフスキーの『貧しき人びと』を買ってきた。小島信夫の影響で手紙というものに興味が湧いていて、書簡体小説とかどんどん読みたい気持ちになっている。手紙を書くときというのは相手は常に不在で、不在の人に向かって語りかける、文章をしたためるというのは面白いことと思う。ある手紙が書かれてから次の手紙が書かれるまで、そして出されるまで、相手に読まれるまでには時間が空く。リアルタイムで逐一その日あったことをラインで送るような感じとはそこが違う。可愛い野良猫を見つけたとか変な看板を見つけた、とか言って写真と一緒にポンと送りつけるようなその感じも悪いことはないが、一週間なら一週間、それ以上ならそれ以上、前の手紙から新たに手紙を書くその時までに流れた時間、その時間を手紙を一つの区切りとして振り返って相手に伝える、そこに飾り気が混じったりもする。随時報告するでもなく、一日の終わりにその日を振り返るというのでもなく、手紙の往来のその不規則なリズムによって自身の日々や考え事とか感じたことが区切られていくその感じ、相手の文面や内容によってこちらの書くことも変わっていくその感じがなんだか無性に面白いと思う。これはツイッターとブログの違いとも似ているかもしれない。ツイッターはやっぱり幾分か反射的につぶやくようなところがあって、ブログである程度まとまった文章を書くとなると書いている途中に考えが膨らんだり逸れていったりする、そういう書きながら考えるということはある程度の文章の長さがないと起こらない。一息の長さが違うそのことで内容が変わったりもする。