アワー・ミュージック

正しいヒマの過ごし方。楽しいお金の使い方。

あの店ならあるかも

 引っ越してきてから家の周りをウロウロするくらいで、TSUTAYAや花屋や安いスーパーや本屋には詳しくなったが、この街のことがよくわかっていない。暮らしている中で、こういうものが欲しい、と思ってもどこに行ったら売っているのかよくわからないので困る。部屋で着れるいい感じにゆるい短パンが今は欲しいがそんなにお金を出したくない。チンピラ感がなく快適に着られればそれでいいのだが、2000円くらいで欲しいと思うとなかなか見つからない。

 家の周りには本屋が三軒ほどあるが、すべて本屋の皮を被った文房具屋だった。本屋のふりをしているがほとんど本を売っていない。未だに君の名はのノベライズ版を大々的に展開していてやる気がない。漫画は最新巻とその前の二、三巻だけ置いてあり、新潮文庫の棚には海外文学は置いていない。岩波文庫は古典とか武士道とかだけが置いてあり、ちくま文庫河出文庫は置いていない。安いボールペンがいっぱい売ってある。

 

 欲しいものができた時、あの店ならあるかも、というのが京都にいた頃はだいたいわかった。自転車漕いだらそこまで行けた。それは単純に長く暮らしててしょっちゅうぶらぶらしていたからだと思うが、今みたいに引越したてで休みの日は作り置きの料理を作ったり本を読んだりしているうちに終わってしまうような状態では全くわからない。とりあえずイオンに行ったら目的に適うものは手に入るが、あんまり家に置いておきたくないような、いかにもショッピングモールで買いました、みたいなデザインのものしかない。大学生の一人暮らしの頃にはニトリで必要なものをどっさり買って、そのままニトリで暮らしているような感じがずっと続いてしまったので、できることなら自分の気に入るものを最初から買いたい。一度買ってしまうと、あんまり気に入ってなくても、壊れない限りは買い換えないし。ショッピングモールで自分が欲しいものに近いけどちょっと違うものを買って帰るときは落ち込む。確かにこれで困らないけど、思ってたとのとはちょっと違う。そのちょっとの違いがなんだかいやだ。色味がちょっとファンシーすぎたり、なんかテカテカしていたりするのがいやだ。別に使えるんだけどなんかいやだ。どの店ならあるんだ。

 

 最近は柴崎友香の小説を読み返していて、街をぶらぶらしたり買い物したり夜に遊んだりするのっていいよな、ということをぼんやり思っている。二週間ぶりに行ったらもう店が変わっているような街に通う楽しさを少し思い出す。タピオカとか唐揚げとか食べたりしてもいいじゃない。久しぶりに服を買いたいな。ゲーセンで400円くらい溶かしたい。今は食費交際費交通費日用品娯楽全部合わせて月に4万くらいしか使わない暮らしをしているがちょっと金銭感覚を見直した方が人生楽しくなるんじゃないかという気がしている。