アワー・ミュージック

正しいヒマの過ごし方。楽しいお金の使い方。

 今月の頭からフルタイムの仕事を始めて、全方位に尻尾を振って生きている。持ち前の素直さとほどよいひねくれ具合によって、主にパートのおばちゃんたちに可愛がられている。犬のような暮らしも悪くない。お金がもらえるのだから。

 働いている大人たちは朝から晩まで一体何をしているのか、仕事とはつまるところ何をすることなのか、ずっと疑問に思っていたのだが、いくつかの仕事を渡り歩いて、ギリギリ自活できるくらいのお金を稼いでみても、よくわからない。僕は朝から晩まで何をしているのか?

 職場の玄関にはいつも5000円くらいの花束が飾られている。週に一回お花屋さんが来て取り替える。ひとつ前はクリスマスカラーで統一されていた。今のはお正月仕様でいつもよりゴージャスでめでたい感じがする。散りばめられた南天の赤色によって全体が引き締まって見える。お花屋さんと言葉を交わしたりすることはないが、出来上がった花束からお花屋さんの意図やこだわりを読み取ろうとするのはたのしい。

 

 いつも乗り換えをする駅のトイレの個室の壁には落書きがなくて、最近は便所の落書きへの監視が厳しくなったのか、ヤンキー漫画に出てくるような汚い個室をあまり見かけなくなったと思っていたら、天井にびっしりと誰かが刻んだ罵詈雑言が広がっているのを今日見つけて怖かった。前やうしろにいないと思って安心してたら上にいた、というのはホラー映画でありそうな演出だと思った。

 そういえば今日久しぶりに怖い夢を見た。子供の頃は怖い夢をたくさん見たけど大人になるに従って少なくなっていた。だけど僕は今年のクリスマスプレゼントに風邪をもらったので怖い夢を見た。昔から風邪をひくと必ず怖い夢を見る。発熱するたびに絶対に見る夢があった。今では熱が出てもその夢を見なくなったけど、それでもありありと思い出すことができる。腸の中のようなぼやぼやした赤黒い空間で、僕を含めた家族全員がそれぞれ同じくらいの背丈の相撲取りにボコボコにされる夢だった。

 

 毎年思うことだけどクリスマスが終わる時の鮮やかさはすごい。ハロウィン終わりから二ヶ月近くずっともうすぐクリスマス、というムードをあらゆるメディアがかもし出し続けて、人々もクリスマスをめがけて浮き足立った感じになるのに、26日になると跡形もなくなる。町中からサンタのイラストやクリスマスを思わせる置物が一斉に消え失せる。初めからクリスマスなんてなかったかのような顔してみんな歩いている。すごいと思う。

 

 今年ももうすぐ終わる。今年はいろいろなことがあったのできちんと振り返って噛み締めたいと思う。来年の野望もいくつか考えたいと思う。お金を稼ぐとか、できることが増えるっていうことは単純にうれしいことだということを実感することが多かった。もちろん家が一番好きだけど。