アワー・ミュージック

正しいヒマの過ごし方。楽しいお金の使い方。

週末

 自分では平気だと思っていたのが事態が好転してから振り返ってみると全く大丈夫じゃなかったと思うことがよくある。この前の週末は大学の友達と四人で3泊4日の東京旅行に行った。そのうちの一人がハイウェイスターで運転を全部してくれた。ありがとう。知らない街で銭湯に入ったり、江戸時代からの伝統料理を食べたり、東京で働いたり働いてなかったりする先輩や友人に会いに行ってお酒を飲んだ。海ほたるとかいう東京湾のど真ん中にあるインターの駐車場が海抜6メートルとかで海がとても間近に黒々として見えて迫力があった。首都高はアップダウンが激しくて景色がどんどん変わっていくのがF-zeroのコースみたいで楽しかった。久しぶりに寝る間も惜しんでお金をあんまり惜しまずにたくさん遊んでとても気分が良くなった。感じることだけがすべて感じたことがすべてで生きててよかった生きててよかったそんな夜だった。大げさに言えば自分の人生を取り戻したような気がした。たぶん去年就職活動を始めたぐらいの頃から、気が付いたら防戦一方になっていた。もう23歳なんだから遊んでばっかりいられないとか思っていたけれどもう大人と呼んでもいい年齢なのだからなおさら積極的に遊んでいかなければいけないのかもしれないと思い直した。島田雅彦が『ヒコクミン入門』の中で鬱病というのは要は遊べなくなることだと書いていたのを思い出す。働いてばっかりなのはきっと身体に悪い。もっと遊んでいこうと思った。

 以前よりもちゃんとした環境で労働を始めてから、人生が一週間刻みで感じられるようになった。今週の月曜日までは東京で遊んでいて、火曜日はいっぱい遊んで元気が出たのですいすい働いて、水曜日にはもうばてて、木曜日には少し持ち直し、金曜日、今日はとても忙しくて駆け抜けた。月の明るい夜だった。週末には楽しげな予定がある。来週末もある。楽しみがあるから頑張れる、なんて思うようになる日が来るとは思わなかった。正確に言えば頑張れるというよりも生き延びられる、耐え忍ぶことができる。

 

 今年は慣れないことをいっぱいしたけど、わかったことがいくつかある。あれこれ先回りして考えずにまず飛び込んでみないことには何も始められないこと。あとから全部ついてくる。新しい環境に馴染むためにはまず自分の中にあるものを手放してみること。新しい関係を築くためには多少なりとも自分を変える必要があるし、また余白がなければ他人が入り込む余地がない。だから自分の中の凝り固まった部分にあるものを整理し直してひとつひとつ手放していく必要がある。一度捨ててしまってもあとからきっとすべて思い出す。そんな気がしている。感じることや傷つくことはやめようと思ってもやめられるものではない。悲しみをさがす必要はない。つまらない大人には多分ならない。