アワー・ミュージック

正しいヒマの過ごし方。楽しいお金の使い方。

日記

 長かった免許合宿が終わった。世界観が西村賢太だったので帰りはドレスコーズのTrashをエンディングテーマにしながら夜行バスに揺られていた。夜行バスでは切れ切れにしか眠れずにふらつきながら帰ると近所で工事が始まっていて家に帰っても眠れなかった。頭が割れそうだったので一日中大きな公園をうろうろしていた。帰りに立ち寄ったブックオフ岩館真理子の『アリスにお願い』と川上弘美の『龍宮』がそれぞれ108円で買えて、読んでいるうちに機嫌が直った。娯楽ってすごい。

 仙台で夜行バスの時間を待っている間、外は寒かったのと荷物が多くて身動きがとりづらかったので、漫画喫茶で奥浩哉の漫画を読んだ。いぬやしき全巻とGIGANTの既刊のものを一息に読んだ。GANTZが人気を博していた頃は、野蛮な漫画だと思って読んでいなかったけど、いざ読んでみると面白くて止まらなかった。奥浩哉の漫画は剥き出しの娯楽というか、エログロ有りのスピルバーグというか、みんなが本当は好きなもの欲張りセットという感じで、とても楽しいけどちょっとこわい。非現実な心躍る設定になんだか現実的な空気感のバランスが絶妙だ。現実的というのはところどころに出てくる実際の風景とか、流行りの固有名詞だけによるものではなく、軽薄で無責任な野次馬根性をビシバシ刺激してくるところから感じる印象だと思う。作中に2ちゃんねるがよく出てくるけど、そういう匿名掲示板的な身も蓋もない面白さがあって病みつきになる。どうしてこんなに時代の見えない欲望のようなものを上手に掬い出すことができるんだろう。天才か?

 

 今日は久しぶりに思い煩うことなくぐっすり眠ることができて、工事も休みらしくて静かな一日だった。なんだかんだ言ってここしばらくずっとやらなければいけないことや憂鬱な予定があったけど、ゆっくり休むことができた。ただ重いものを運ぶバイトで日銭を稼いでいた時の休みの日にも感じていたけど、苦しいのが常態化していて、こういうふと晴れ渡るような穏やかな日があると、胃の中が空っぽになったような、変にスースーして落ち着かないような気持ちになる。忘れ物をしているようなそわそわした焦りがあって、煙草を吸ったり身体を伸ばしたりしてみてもいまいち落ち着かない。ひょっとしたら休むのが下手なのかもしれない。退屈だと自ら苦しみを味わいにいくようなことが往々にしてあるというようなことが『暇と退屈の倫理学』に書いてあったのを思い出す。

 幸い昼過ぎに社会と接するちょっとした予定があったが、それ以外は本を読んだりギターを弾いたりみかんを食べたりして過ごした。来月からはバイトを始めることになりました。四月からは就職です。毎日朝起きて働くのはいやだけど、労働をせずに日々を空費するような過ごし方が平気でできるほど自分はしたたかでもないのだなと実感しています。