アワー・ミュージック

正しいヒマの過ごし方。楽しいお金の使い方。

花とか本とか音楽とか

 この前初めて花屋さんでお花を買った。いくつかの理由から、かねがね花が欲しいと思っていたけれど、決め手となったのは冷凍都市でも死なないというサイトのこの記事だった。

www.shinanai.com

 青いデルフィニウムの花束とラベンダーを買った。ミモザが欲しかったんだけど盛りの時期がちょうど終わったくらいで全然出回ってなかったのであきらめた。今はどこの花屋さんにも、家々の軒先や店先にもアジサイが飾られていて、何軒か回っているうちにアジサイヤマアジサイの区別がつくようになった。僕は花の名前をほとんど覚えないまま生きてきたけれど、名前を覚えると途端に区別がつくようになるから不思議だ。それからは彼女と散歩をしていてヤマアジサイを見つけるたびにいちいち立ち止まって報告するようになった。おじいさんみたいだ。

 買ったデルフィニウムはあんまり元気がなかったから早めに輪ゴムと麻ひもで縛って吊るしてドライフラワーにしている。ラベンダーは大事に育てようと思って、日当たりの悪い部屋のかすかに日の当たる場所に置いてある。土が完全に乾いてから水をあげるのが長持ちさせるコツだとえっちゃんに似た店員さんが教えてくれた。土の表面が乾いていても中の方は湿っていることが多々あるので、きちんと指を突き刺して確かめてみる必要があるとネットに書いてあった。

 花屋さんに行く前に、様々な精神的なハードルがあったけれども、そのうち大きかったのが花の名前を知らないことと、花の値段の相場がわからなかったこと。花屋さんに行く前に欲しい花をいくつかリストアップしておくとお店でむやみにうろたえなくても済む。僕はスワッグ作りに興味があったので、後々ドライフラワーにできる花、という観点で軽く調べてリストを作った。ラベンダー、スターチスセンニチコウミモザ、バラ、ユーカリデルフィニウム、エリンジューム、カスミソウなど。花の値段の相場については、未だによくわかっていないけど、デルフィニウムは200円、ラベンダーは350円だった。何かの参考になれば。

 

 ウィリアム・モリスの『民衆の藝術』という本を読んで、次のような文章があった。

芸術の目的は、人々に彼らの暇な時間をまぎらし、休息にさえあきることのないようにするために美と興味ある事件をあたえることによって、また仕事をする際には希望と肉体的な快楽をあたえることによって、人々に幸福感を味わせることにある。要するに人々の労働を楽しく、休息を豊かにすることにある。したがって、真の芸術は人類にとって純粋の祝福なのである。
—  ウィリアム・モリス著、中橋一夫訳『民衆の藝術』

 

  モリスはヴィクトリア朝の頃のイギリスの芸術家で、社会主義寄りの思想の持ち主で、大量生産される安っぽい工業製品を嫌い、手仕事にこだわってアーツ・アンド・クラフト運動を主導した。植物や花柄のモチーフを好んで用いていて、のちのアール・ヌーボーなんかにも影響を与えた。今でも人気が高くて、ネットの通販とかでウィリアム・モリスのデザインした柄のクッションなんかが大量生産されて売られていたりする。モリスは日本でいうと「民藝」的なものにこだわった人だけど、彼の人気が高まるにつれて大量生産できない彼の作品は高価なものになっていき、民衆には手が出せないというジレンマに陥っていった。

 それは置いといて、モリスのこのある意味素朴な芸術観を僕はとても気に入っている。生存のための諸条件をとりあえず整えたら、次は作ることや飾ることに向かうものなんじゃないかと思う。最近思うのは、ネットにあがっているおしゃれな部屋の写真を見て僕がおしゃれだと感じるのは、布と光と皿と花が綺麗なときで、今はもうすぐ実家に引っ込むので保留するけど、次にまた引っ越したときにはそのあたりにも気を遣って生活をしてみたいと思う。身の回りを自分にとって好ましい状態にしておくと、いい気分になれるので。

 

 手軽にいい気分になるための手段として、いちばん身近なのはやっぱり音楽で、最近気に入っている音楽を書き置いておきます。

 


Wanda Jackson Funnel Of Love

 


Nina Simone Work Song


Stupid Cupid by Connie Francis 1958


Janis Joplin- Try (just a little bit harder)


Blind Willie Johnson - Dark was the night...


Last Time Blues........ Papa Charlie McCoy