アワー・ミュージック

正しいヒマの過ごし方。楽しいお金の使い方。

四年間

 四年間続けたサークルの引退ライブがあった。三日間ぶっ通しのライブで、体力的にも精神的にも完全に燃え尽きた。僕らの二個上の先輩の名言で、「セックスみたいなライブがしたい」というのがあるんだけど、今回のライブは完全にそれだったと思う。同じ音楽を愛する人たちにしかわからない、「わけがわからないけど気持ちが一つになってる感じ」が最高潮だった。

 大学生活のほとんどをつぎ込んで、これからも続いて欲しいし続くであろう人間関係の大半を育んだサークルだったので、思い入れが深くてとても言い尽くせるものではないし、伝えるべきことは個々に直接伝えたつもりなので、ここではあんまり詳しいことは書かない。また会いましょう。これまでのように、たいした理由もなく、張り切らずに集まることができなくなることと、きっとこれからは集まれた時も思い出話の占めるウェイトが増えていくんだろうということがたまらなく寂しい。

 最高で終われて良かったという気持ちと、こんなに最高なのに終わってしまってさみしいという気持ちの両方がある。ライブ後の飲み会の終わり際に、「こんなに最高なのになんで終わるんだよ」とか言いながら泣きじゃくる友達のあきらめの悪さが格好良かった。

 四年間を一緒に過ごしたからといって、何から何まで分かり合えるわけではもちろんない。それどころか、四年間一緒にいたって気が合わないものは合わない奴だっていた。それにもかかわらず、わかりあえなくても、気が合わなくても、あんなに最高な三日間を一緒に作ることができたこと、それはわかりあうことよりも気が合うことよりもよっぽどすごくて、素敵なことだと思う。音楽が好きだという点以外では、僕らはてんでバラバラで、それでもそれぞれが最高のライブをした。そのことを一緒になって喜んで、馬鹿みたいにお互いに讃えあって感謝を伝え合って別れた。

 中学生の頃から、音楽ばかり聴いていた。高校でも大学でも、音楽をきっかけにできた友達がほとんどだ。それと、昔よく聴いていた音楽を聴くと、その当時の情景や心境がふっと蘇ってくることがある。これから先、NUMBER GIRLの”omoide in my head”を聴くたびに、最高だった三日間、最高だった四年間、最高だったみんなのことを思い出すんだと思う。音楽が好きで本当によかった。ありがとうございました。