アワー・ミュージック

正しいヒマの過ごし方。楽しいお金の使い方。

とりとめのない

お金を使うことは投票と一緒だという考え方がある。たぶんここ15年くらいで特に広まってきた考え方だ。いろんなことがちょっとずつ絡み合っている、というのはこわいことだと思う。なにをどこでどんな風に買うかによって、世界が少しずつ変わっていく、というか、変わってしまうということ。それに取り返しのつかなさを感じてしまう。水の流れが石を削るみたいに、放っておいたら部屋が散らかっていくみたいに。
いろんなことが関わりあっている。音楽は、ファッションとも、どんな態度で暮らすかということとも、深い関わりがあると改めて思う。背筋を曲げたり伸ばしたりすることで目に入るものや考えることが変わったりする。食べたものによって力の入り具合に違いが出てくる。そういう相関、因果関係は、とても言い尽くせるものではない。意識することも、気が遠くなって、むずかしい。

あ、なんかいい感じ、って思ったときとか、誰かの話にそうそう!って思ったとき、いい気分になったり頷いたりするだけにとどまる節度がほしい。比較とか、分析とかひとまず置いとける落ち着きがほしい。
ずっと前に驚きつつも黙って飲み込んだ何かが、長い時間を経て少しだけ形を変えたり言葉になったりして不意に腑に落ちる瞬間が大好きだけど、そのためにはただ受け止める、しまっておく、とどめておくってことが不可欠になる。
ただ最近は簡単にでもメモしたりしてひっかかりを作っとかないとそのまますっかり忘れてしまうことが増えた。ぐずぐずさせ続けるのってむずかしい。体力や集中力がいる。
一度でも好きになったものは、ひとつ残らず覚えておきたいなと思ってしまう。