アワー・ミュージック

正しいヒマの過ごし方。楽しいお金の使い方。

今年の読書

読みたい本、欲しい本のことを考えてみると、当たり前だけど今の自分が望んでいること、欲しいものがぼんやりとわかる。最近読んだ本、について考えるのも同じことだ。かつての僕はフランスのシュルレアリスム文学とか、幻想文学めいたものを好んで読んでいたけど、最近はあんまりそういうのは読まなくて、古本屋で見かけても買わなくなった。じゃあ最近は何を読んでいるのかというと、新書だとか歴史の本とかインチキ社会学の本とかで、何というかおっさんくさい。あ、あとちくま文庫の本も多い。最近はなぜかちくま文庫河出文庫の本を買うことが多い。意識しているわけではないけど。そして欲しい本や読みたい本を見てみると主婦の友社とか山と渓谷社とかで、あえて大雑把に括るとしたら、生活とかそれと地続きの楽しみとかに関する本ばかりだ。ここ数ヶ月はそういう本ばかり読んでいる。体に関する本とか、栄養や料理に関する本、日本の現代史、文化史の本など。昔と比べて、実用的な内容の本を読むことが増えて、地に足のついた読書になったと言えなくもないけど、それと同時に、自分の中で心を唯物論的に捉える動きが高まってきているように感じる。眠れないのは晩ご飯を抜いたからだとか、落ち込んでるのは天気が悪いからとか、ビタミンが足りてないからだとか、たぶん間違ってはいないんだろうけど、あらゆる心の動きに半ば無理やり何らかの因果関係を見出す癖がついてきた。少し極端な言い方をすれば、人間をなにか機械的なものとして捉えがちになってきた。だけど人間は機械じゃないし、そんなに合理的な存在でもない。

 

身体と精神というのは、昔から二項対立的に語られがちだけど、心と体は別のものではないように思う。体の中に心が宿っているというか、身体がそのまま心とも言えるというか、うまく言えないけど、とにかく霊魂不滅説みたいな考え方は、実感としてだんだんそぐわなくなってきた。けど今の唯物論的な考え方はあんまり好きじゃない。あんまり楽しくないし、何かを切り捨てているような気がする。それにしても、本を読む量が減って、固有名詞をたくさん忘れて、考えが堂々巡りすることが多くなったように思う。僕が本を読むのは、今日という日を昨日と同じものにしないようにするためだと思ってるんだけど、これからは、どこに行くんでしょうか。とりあえず、よく食べ、よく寝る人になりたいものです。

 

読む本のジャンルが変わってきたのには、きっかけがあって、おもしろい本を一冊見つけるとその後読む本の方向性が決定づけられるけど、今年に入ってミシマ社の本を読むようになった(最初は『ちゃぶ台』)のと、高橋源一郎の『ぼくらの民主主義なんだぜ』を読んだのと、phaの『ひきこもらない』『持たない幸福論』を読んだことが、一番影響力があったかなあと思います。ばるぼらせきしろ共著の『僕たちのインターネット史』もすごく面白くて、インターネット関連の書籍を何冊か続けて買いあさって読んだりした。あとアウトドアへの興味が出てきたのですが、それは漫画の『ゆるキャン△』を読んだからです。文明の利器をガンガン駆使して、季節外れのキャンプをゆるゆるするお話で、とても面白いです。とりあえず山ごはんの本を買って、家での手抜き飯のレパートリーを増やそうと思っています。そのうちキャンプもしたいなあ。

栄養に関しての入門書としては、主婦の友社から出ている『はじめて知る 栄養バランスのよい食事入門』が、家庭科の教科書的な知識から実践的なレシピまで一通りカバーしていてわかりやすく、使いやすいのでオススメです。基礎的というか、常識的なことばかりが書かれているのですが、常識的なことを一通り押さえてある本というのは、すごくいい本だと思います。体系的な知識は、ありがたい。